救いがたいこの世への警句
映画『ホーリー・スモーク』 2003.6.11 Wac@映画生活に投稿 改稿2003.9.13
うーん、何てとっ散らかった映画だろう。
騒々しいこと極まりない。
カンピオン姉妹は、激しい議論をしてこの脚本を書いたそうだが、すべてがメタファーということで、現実的なリアリティはどうでもよかったのか、とすら思える。
要するに、リアリティは風景と俳優の存在だけ。
カンピオン監督お得意の圧倒的イメージもどうも稀薄だし。
この虚構世界を、生身の肉体で模索し構築していったカイテル、ウインスレット両氏には、本当に感嘆するしかないのだけれど、何かひどく仮借なき苦行を見ているような気がしてくる。それがしかも歓喜と恍惚であることもまた伝わってくるところが痛々しいのだが。
きっとそれがカルト教団でなくとも、あるいはカルト脱会プログラムでなくともよかったのだろう。だから、それぞれの描き方は、恐ろしく表層的である。またおまけに、主人公をカルト(まずこの宗教がカルトなのかどうかも皆目見当がつかない)から脱会させようとしている一族郎党がほとんど頭がどうかしているとしかいいようのない奇天烈さだ。
全編中4、5回、失笑させてもらったが、もちろん、コメディとは言えないだろう。
笑えたかたらそれで楽しい、ということには無論ならない。
どうも、観たことを忘れたい映画のような気がする。
しかし、俳優という職業にはつくづく頭が下がる。この部分のクリエティヴィティについては、断乎支持したいと思います。
あと、パム・グリアー氏が見事な存在感。かの女の登場シーンは、この映画で最も安堵を覚えた箇所だ。
最後の最後、監督のカルトや宗教に対するシニカル且つ公平な見解が開陳されて、わたくしも少しは救われた気がしたものよ。
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『ホーリー・スモーク』(1999、ジェーン・カンピオン監督 HOLY SMOKE)
2003.6.11.
シネ・リーブル池袋2にて
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